振袖の「色」「柄」の種類と込められた意味
成人式や大学の卒業式で着ることが多い振袖は「晴れ着」として扱われ、縁起がいいものとされています。そして、振袖の色や柄にも相応の意味が込められているのです。本記事では、振袖の色・柄の種類と、それぞれに込められた意味を詳しく解説します。これから振袖選びをする人は、ぜひ参考にしてください。
振袖の色が持つ意味とは
振袖は、お祝いの場にふさわしい華やかな装いです。基本的にはどんな色を選んでも問題ありませんが、その色が持つ意味やイメージを知ることで、より思いのこもった一枚を選べます。以下に、振袖の定番カラーごとにその意味や印象を詳しく紹介します。
赤
赤は成人式の振袖で定番の色であり、太陽を象徴するとされる神聖な色です。古くから天照大神に由来する「魔よけ」や「厄払い」の意味を持ち、人生の節目にふさわしい色とされています。
また、火や炎を連想させるため、情熱的で活発なイメージも与えます。古典柄の桜や青海波を用いたデザインは、赤の振袖にとくによく合うでしょう。
ピンク
ピンクは恋を象徴する色として、かわいらしい印象を持つ人気色です。源氏物語などの古い物語でも恋の予感を桃色で表現しており、日本人に親しまれてきました。パステルピンクは柔らかで可憐な雰囲気を、ヴィヴィッドピンクは若々しさを演出します。また、くすみカラーを選べば大人っぽい仕上がりになるでしょう。
白
白は純真無垢の象徴で、清らかでピュアな印象を与える色です。結婚式の白無垢やウエディングドレスにも通じるように、格式高い色とされます。白は肌のトーンに合わせた選び方が重要で、イエベ肌にはアイボリーやバニラ、ブルベ肌には純白やオフホワイトがよく似合います。
黄
黄色は太陽や光をイメージさせ、周囲を明るく照らすポジティブな印象を与えやすいです。また、春や稲穂の色とも関連し、豊かさや実りの多い人生を願う意味もあります。ヴィヴィッドな黄色はポップな印象、からし色はレトロ感、パステルカラーはかわいらしさを引き立てます。
青
青は空や海を連想させ、清涼感や知性、クールさを感じさせる色です。日本では藍色や瑠璃色といった伝統的な青が親しまれており、藍色は「ジャパンブルー」として縁起がよいとされています。現代的なモチーフであるバラを組み合わせた濃い青の振袖は、品格とスタイルアップ効果を兼ね備えています。
緑
自然を象徴する緑は、癒しや調和を感じさせる色です。草木や竹のように成長を表し、若々しさを象徴する意味もあります。花柄との相性がよく、緑を基調とした振袖は花々を鮮やかに引き立てます。
紫
紫は高貴さや神秘的なイメージが強く、奈良時代や平安時代には身分の高い人々が身につけた格式ある色です。深い赤紫を基調とした振袖は、格式の高さを感じられます。また、シンプルな色味の柄と組み合わせることで、しとやかさも際立ちます。
黒
黒はフォーマルな場で選ばれる格の高い色で、高級感やシックな大人っぽさを演出します。紅白の椿や熨斗柄を取り入れたデザインや、モノトーンの幾何学模様をレトロモダンに仕上げた振袖は、モード感あふれるスタイリッシュな印象を与えます。
振袖の柄が持つ意味とは
振袖の「柄」には、それぞれ特別な意味が込められており、繁栄や長寿、縁起の良さなど、祝福や願いが表現されています。以下は代表的な柄とその意味です。
松竹梅
松竹梅は常緑の松、まっすぐ育つ竹、春を告げる梅の組み合わせです。生命力や力強さを象徴します。
鞠
鞠は、困難を丸く収める幸福の象徴とされています。
桜
桜は、五穀豊穣と新しい門出を祝う縁起柄です。
組ひも
組ひもは「結ぶ」という意味から魔よけとされています。
亀甲文様
亀甲文様は亀の甲羅に由来し、長寿や繁栄を願う柄です。
橘
振袖の橘の柄は長寿や子孫繁栄を表します。橘は、500円硬貨にも描かれています。
熨斗柄
熨斗柄は祝儀の意を表します。
雪輪
雪輪は豊作を願うモチーフとして親しまれています。
貝桶
貝桶は、永遠の契りや夫婦円満を象徴します。
流水文様
流水文様は、清らかな水が厄災を流す願いを込めています。
鶴
鶴は長寿や生命力、御所車は高貴さと華やかさを表します。
糸巻き
糸巻きは、人の絆や長寿を象徴します。
矢羽根
矢羽根は、主に魔除けや決意を示します。
七宝
七宝は、円満や繁栄を願います。
流水文様
松皮菱は、松の樹皮のひび割れに由来する幾何学模様で長寿を象徴します。
蝶
蝶は、芋虫からさなぎ、そして蝶に成長することから成長や立身出世の象徴です。
扇面
扇面は、発展や繁栄を願う縁起物です。
雲取り
雲取りは、運気上昇を示します。
バラ
バラは、色ごとに異なる感情や美徳を表します。
麻の葉
麻の葉は、魔よけや子どもの健やかな成長を願う柄です。
青海波
青海波は、平穏で幸せな暮らしの継続を願います。
藤
藤は長寿や子孫繁栄、高貴さを表しています。
まとめ
振袖は、成人式や卒業式といった特別な日を彩る「晴れ着」として、色や柄にそれぞれ深い意味が込められています。色には「赤」の情熱や厄払い「白」の純真無垢「緑」の成長や癒し「紫」の高貴さ「黒」のシックな大人っぽさなど、人生の節目にふさわしい象徴が多くあります。また、振袖の柄も繁栄や長寿、縁起の良さを表現しています。例えば、生命力を象徴する「松竹梅」困難を丸く収める「鞠」新しい門出を祝う「桜」長寿を象徴する「亀甲文様」など、それぞれに深い意味が込められています。これらの色や柄を知ることで、特別な日にぴったりの振袖を選び、祝福と願いを込めた装いを楽しむことができます。